流鏑馬 神事、儀式
流鏑馬奉納では、流鏑馬本儀の前に神事を執り行います。
流鏑馬 神事、儀式(流鏑馬開始前)
練り歩き
宮司をはじめとした神職、武徳会一門、諸役など大勢の方々が、行列を作り馬場まで練り歩きます。一同、古来の装束を着用し、観客から注目を集めます。
神事、儀式の開始
流鏑馬奉納では、流鏑馬奉納前に馬場に設けられた祭壇にて神事、儀式を行います。
神事は、宮司により厳粛に行われ、安全と無事奉納を祈願します。
神事の中で「玉串拝礼」があり、小笠原流流鏑馬 宗家をはじめ関係する方々が神前に拝礼されます。
また小笠原流 礼法 宗家が、来賓される行事では、礼法 宗家も神前に拝礼されます。
小笠原流礼法 宗家 小笠原敬承斎様
小笠原流流鏑馬 宗家 源 長統
神事の中に「神酒拝載式」、「弓渡しの儀」と呼ばれる儀式があります。
この儀式では、射手は、神前に捧げられた神酒を頂き、また宮司から神前に捧げられた弓を受け取り、日頃の鍛練の技を発揮することを願い、気を引き締めて流鏑馬本儀に臨みます。
神酒拝戴式
弓渡しの儀
天長地久式と呼ばれる儀式では、鏑矢を番えて、空と大地を射るしぐさをします。
世の平和と万民の息災を祈る厳粛な儀式です。
天長地久式
儀式に使用する鏑矢
神前での神事、儀式が終了すると、馬場にて本儀前の「素馳せり」があり、馬と馬場の状態を確認し、流鏑馬の本儀になります。
揚扇の儀
本儀の前に「揚扇の儀(ようせんのぎ)」と呼ばれる儀式があります。
この儀式は、一番射手が馬場元にて的中を祈願し、扇を高く投げ上げ、流鏑馬開始を告げる儀式です。この儀式に引き続き流鏑馬本儀が開始されます。
流鏑馬奉納
流鏑馬奉納は、流鏑馬馬場にて行われ、「流鏑馬 本儀」と「流鏑馬 騎射・挟物」が行われます。
流鏑馬馬場
流鏑馬馬場は、250mの直線馬場です。
馬場の出発地点は、「馬場元」と呼ばれ、到着地点は、「馬場末」と呼ばれます。
馬場には、3つの的が設けられ、馬場元から35m地点に「一の的」、90m間隔で「二の的」と「三の的」が設置されます。
流鏑馬馬場
流鏑馬 本儀
流鏑馬 本儀は、流鏑馬奉納の本番として約40cmのヒノキの板を的にします。
三人の射手が、各三回騎射します。
的: ヒノキの板
流鏑馬 騎射・挟み物
騎射・挟物は、流鏑馬奉納の余興として扇を的にします。
三ヶ所の的全てに的中すると流鏑馬終了です。
的: 扇
矢
流鏑馬では、写真のような矢を使用します。
流鏑馬で使用する矢
神事と儀式(流鏑馬終了後)
神禄の授与
流鏑馬奉納が終了すると「神禄の授与」と呼ばれる儀式があります。
この儀式は、宮司より射技の優れた射手に対し、神の褒美としてあさぎ色の旗印を授かる儀式です。
流鏑馬奉納 終了の神事
終了の神事が行われ、流鏑馬行事は、全て終了します。
流鏑馬 諸役
流鏑馬奉納は、多くの諸役により進行されます。
また諸役は、古来の装束を着用し、各役割を果たします。
総奉行および馬場奉行
馬場奉行は、馬場元に配置され、馬場の安全確認、各的の準備完了を確認し、馬場末の総奉行に大きな扇で合図します。
総奉行は、馬場末に配置され、馬場奉行からの合図を受け、騎射の開始を合図します。
的奉行
的奉行は、各的に配置され、的中した時の合図や的替終了など準備が揃った合図を行う役割です。
馬回り役
馬回り役は、練り歩き、神事など全般にわたって馬の世話をします。
検見役および日記役
検見役は、馬場の中央付近に配置され、的中した時、太鼓により知らせる役割です。
日記役は、的中を流鏑馬日記に記録する役割です。
的替役
的替役は、各的に配置され、的中した的を、新しい的に交換する役割です。
矢取役および雑色役
矢取役、雑色役は、各的に配置されます。
矢取役は、矢を拾い、矢羽根に付いた泥を落とし、矢受渡役に渡す役割です。
雑色役は、当たり的の破片を集める役割です。
矢受渡役
矢受渡役は、各的に配置され、矢を馬場元に戻す役割です。
矢の戻し方は、「三の的から二の的へ」、「二の的から一の的へ」、そして馬場元への順に矢を受け/渡しながら集めていきます。
矢の受け方/渡し方は、その所作が決まっており、観客の注目を集めます。